子供、妻、部下とのコミュニケーションを円滑にする普段使いの「コーチング」のポイント

いそっぴ — №1 倉園 佳三

日常生活でコーチングのエッセンスを取り入れる

コーチングというのは一流アスリートの世界だけのものではなくて、ぼくたちの日常生活でも使うことができるコミュニケーションの技術である。本格的にコーチングを学ぶのではなく、日常生活で使うのであれば、必要なのは「傾聴」と「未来への質問」の2つの技術である。 コーチングの技術を使って、できる親(夫・上司)になってみてはどうだろうか? コーチングというのは「自ら考え、自ら行動を起こし、結果も自分で評価できる」自律的な人間になることをサポートする手段である。最近ではスポーツの世界だけではなく、ビジネスや教育や医療の世界でもその活用が始まっている。しかしコーチングの技術を身につけようとすると、覚えないといけない理論やメソッドが多く敷居も高い。 本格的なコーチを目指すのであればそれらを勉強しなければならないが、日常生活の中で普段使いするのであれば、難しく考えなくても大丈夫。コーチングのエッセンスのみを取り入れるのは簡単で、それだけでもかなりの効果は見込める。

ぼくがお伝えしたいコーチングのエッセンスは、「傾聴」と「未来への質問」の2つである。 この2つのコーチングのエッセンスを身につけて、他の人とは少し違うコミュニケーションで差をつけるのも良いかもしれない。

傾聴

普段使いのコーチングであれば、傾聴が出来れば8割方完成したといっても良い。 傾聴と言うのは、文字通り体を傾けて聴くことである。「聞く」ではなく「聴く」。つまり相手が言うことを心から聴くということである。 大抵の人は、自分が言っていることをきちんと聞いてもらえればそれで満足することも多い。特に夫婦間では、夫が妻の話を聞く際に、面倒になって途中で遮ったり、結論を急いで喧嘩になった経験がある人も多いかと思う。 夫や妻の話を聞く際には、それが他愛もない愚痴であっても、反論や結論を急ぎたくなる衝動を抑えて「聴く」ことが肝要である。これが出来れば夫婦関係は円滑になること間違いない。 この傾聴はすべての人間関係で有効である。人はとにかく自分の話を聞いて欲しいのである。話を聴くだけで貴方は「良い人」に格上げされる。 この傾聴で大事なことは、傾聴している(心から聞いている)ということが相手に伝わることである。俺は「ながら」でもあなたの言うことはきちんと聞いているよ、という聖徳太子的な言い分は通用しないと心得よう。 話を聞くときは、作業を止めて、相手を見て、適切な相づちをいれて聞くことが必要である。スマホを操作しながら妻や子供の話を聞くとか、パソコンを操作しながら部下の話を聞くというのはいただけない。 相手からすると、本気で聞いてもらえていないと感じて、「話を聞いてくれない人」の烙印を押されてしまうだろう。

未来への質問

傾聴をすることで、相手は貴方を受け入れてくれる。受け入れてもらった後は、コーチングの本来の目的である「自律的に考えて行動する」ことをサポートしたい。 その際に有効なのが、一般的に「オープンクエッション」と言われている質問である。問いかけには、Yes、Noで答えることができる「クローズドクエッション」と言われている質問形式と、自分の考えを述べないといけない「オープンクエッション」と言われている質問形式がある。相手に自律性を求めるなら、この「オープンクエッション」を使ってみたい。「オープンクエッション」はシンプルに考えると、「XXXXについて貴方はどう思いますか?」という質問に集約される。「どう思うか?」と聞かれると、聞かれた相手は自分の頭で答えを考えなくてはいけない。そしてこの答えを考えるということで自律性が育まれるのである。そしてこの「オープンクエッション」は、過去のことではなくて、未来について質問することがコツである。例えば、「どうして失敗したのだと思う?」と聞くのではなく、「次に成功するにはどうすれば良いと思う?」と聞くことである。過去を責め立てるのではなく、「未来について共に考えよう!」という姿勢が、コーチングを成功させるポイントなのである。

おわりに

コーチングは効果が現れるのに時間がかかる指導法である。てっとり早くやるには、答えを明示して強制的に(体罰や暴言で)やらせば良い。しかし、体罰や暴言で相手を従わせるのは「指導」ではなく「調教」である。そして調教は調教師がいなくなれば効果がなくなる。

子供や部下が自分の手元を離れても、自律した人間として行動して貰いたいと思うなら、このコーチングのエッセンスを心の片隅においてコニュニケーションしてみてはどうだろうか?

写真: Flickr / benjaminasmith CC BY-SA 2.0

Isoppi

いそっぴ

大阪で働くIT系ビジネスマンです。1966年、京都市出身、上級システムアドミニストレータ。パーソナルブログ「雑録ブログ」を運営しています。

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